EEIC 東京大学工学部 電子情報工学科・電気電子工学科

種村 拓夫 准教授

本郷キャンパス

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半導体集積フォトニクス

数ミリ角の半導体チップの内部に光を閉じ込め、その状態を自在に操る技術を研究しています。「電子」にはない「光」ならではの特徴を活かしながら、頭の良い演算は「電子」回路に任せる、いわゆる“良いところ取り”の光電子集積チップを創出し、次世代光通信、光配線、イメージング、センシングなど、幅広い分野への応用を目指しています。

研究分野1

光集積ビームスキャナ・イメージング素子

無線通信で用いられているフェーズアレイアンテナを光の波長帯に適用し、数ミリ角の半導体チップ内に集積することで、高速なビームスキャナやイメージング素子が実現できます。アレイ状に並べた無数の光位相シフタを制御することで、任意の光波面を合成することが可能になり、例えば光の出射方向を高速に切り替えることができます。これまでに、100ポート大規模光集積スイッチや空間ビームスキャンニングチップを作製し、高解像ビームスキャンやナノ秒オーダーの高速動作を世界に先駆けて実証しました。このような光集積スキャナは、将来の自動運転車や自律ロボットにおいて必須となるLiDAR(レーザ光を用いた3次元イメージングセンサ)を安価かつコンパクトに実現する技術として、近年急速に注目を集めています。デバイス開発だけでなく、光集積スキャナを用いたゴーストイメージングや圧縮センシング手法など、高度なアルゴリズムの探求も重要な研究テーマです。
研究分野2

光ユニタリ演算回路・機械学習光回路

光集積スキャナを多入力に拡張することで、直交した光空間モード(基底)を任意の異なる直交モードに変換する「光ユニタリ演算回路」も実現できます。当研究室では、「多面光波変換手法」に基づく独自の光ユニタリ演算回路を提案・開発し、機械学習アルゴリズムにより再構成させることで目的に応じた線形処理が得られることを実証しています。このようなユニバーサル光演算回路は、次世代の空間モード多重光通信をはじめ、量子コンピューティングや高速な機械学習回路に適用できると期待されています。
研究分野3

メタサーフェス光波操作・検出素子

波長以下の微細構造表面(メタサーフェスと呼ばれています)を用いると、光の波面や偏波状態を自在に操作したり検出する素子が実現できます。例えば、波長以下の周期の格子構造を用いることで電気光学(EO)ポリマー膜に光を局在させて、効率良く光変調を行う素子を新しく提案し、研究を進めています。このような技術が実現すれば、大量の光信号を同時に変調したり、光波面を精度良く高速に合成することが可能になり、LiDAR、イメージング、光無線通信、レーザ加工等への応用が期待されます。また、それぞれの微細構造(メタアトム)を細かく設計することで、垂直入射光を偏波成分毎に分離して集光することも可能です。光の偏波状態を積極的に活用する次世代の光通信システムや光センシングへの展開を目指して研究を進めています。
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