EEIC 東京大学工学部 電子情報工学科・電気電子工学科

EEICの授業

EEICの授業では基礎的な部分から発展的な内容まで扱います。授業内容は多様で、さまざまな分野について「電気」という観点から学習できることも魅力のひとつです。

電磁気学I・II

授業概要

電気磁気学は全ての電気電子工学の基礎となる理論を学ぶ授業です。電気磁気学とは、工学応用に必須となる実世界へのアプローチ手段の根源であると言えます。この授業では、電気磁気学の理論を基礎から丁寧に解説すると同時に、演習を併用することによって電気磁気学の本質的な理解を身に着けることを目的としています。本授業で学んだ知識は、電気電子工学技術の原理を理解するのみならず、電気磁気学に基づいた新たな応用技術の創出にも役立ちます。

具体的に授業で行われる内容

本授業では、電界と磁界に関する様々な現象の定式化を通して「場」の概念を詳しく解説し、エネルギーや力といった物理量との関連を含めた電気磁気学の一般的な取り扱い方について講義します。さらに演習を通して、具体的な境界条件下での解法を身につけながら現象の理解を深め、最終的にはマクスウェル方程式に基づいた電磁界の一般論に習熟することで、総合的な電気磁気学体系を把握してもらうことになります。

ココがおもしろい!

電気磁気学IおよびIIは時間割上で連続して開講されます。電気磁気学Iで説明した内容に関する演習を直後の電気磁気学IIで取り扱います。理論的な取り扱いと具体的な解法とを協調的に学ぶことで、学修効果を高めています。

電気回路理論第一

工学は自然科学の法則や数学を用い、人間に役立つものを作ったり、人の生活の質を向上させます。一方で自然法則が人間の役に立つためには、通常、幾度ものモデル化(簡単化)を経なければなりません。電気回路はまさに電磁気学をもとに体系化され、デバイス・機器、ひいてはアプリケーションの創成に至るまでのモデル化の一段階と見ることができます。本講義では電気回路の解析方法や応用方法を身につけるだけでなく、このような工学にとって枢要な考え方を学ぶことを狙っています。

どんな講義?

本講義は電気回路の講義であって、電気回路にとどまらないもので、本講義を通して皆さんは工学の世界への一歩を踏み出すこととなります。ここで学ぶ工学的な物事の捉え方はその後の人生の拠り所となることが期待されます。

ココがおもしろい!

本講義は電気回路の講義であって、電気回路にとどまらないもので、本講義を通して皆さんは工学の世界への一歩を踏み出すこととなります。ここで学ぶ工学的な物事の捉え方はその後の人生の拠り所となることが期待されます。

ソフトウェアI・II

ソフトウェア1は、C言語を題材に、プログラミングの基礎を習得してもらう授業です。特に、以下の3点を目的としています。「UNIX環境におけるプログラミングの作法や基本概念を理解する」「C言語の基本的な文法を習得する。特に、ポインタを理解する。」「Git/GitHubを題材に、バージョン管理の概念を習得する。」3年生以降の講義や研究で必須となる基本的なソフトウェア技術を、プログラミング初心者も含めた全学生に理解してもらうのが狙いです。

どんな講義?

講義では、講義ウェブサイトの内容を松井が説明するパートと、演習部分を学生が実際にコーディングするパートに分かれます。説明の直後に演習を行うことで、受講者は常に実際に自分でコードを書いて挙動を確認できます。また、毎週自動採点機能がついたコーディング課題を課すことで、受講者には常に自分で手を動かしてもらうよう心がけています。とにかく、「実際にコーディングすること」を重要視しています。

ココがおもしろい!

全ての講義内容を講義ホームページ上にパスワード無しで記載し、誰でもいつでも参照できるようにしています。また、コロナ禍でも全員が同じプログラミング環境で講義を受けられるように、Google Cloud Shell Editorといったクラウドコーディング環境についての記載を盛り込んでいます。バージョン管理は重要であるという考えに基づきGit/GitHubを積極的に取り入れており、宿題もリポジトリという形で配布します。また、リポジトリのCI/CD機能で自動採点を実現している点はユニークだと思います。

ディジタル回路

授業概要

現在の情報化社会の大部分はディジタル回路とディジタルデータでなりたっています.EEIC2年次講義「ディジタル回路」では情報技術の1丁目1番地,「0」と「1」で構成されるディジタル回路の考え方,作り方,ハードウェア/ソフトウェア設計について学びます.2本の信号の論理積や論理和を出力する単純な回路の学習に始まり,それらが組み合わさって徐々に多機能となりながら,講義が終了する頃には受講者はディジタルコンピュータを設計する知識を有するようになっています.この基礎習得により,この後続く,より高度なハードウェア/ソフトウェア技術の講義において本質的・有機的な学習を可能とすることを狙いとしています.

どんな講義?

講義ではまずディジタルとは?に始まり,現実世界においてディジタルな挙動を実現する素子の実態について学びます.この確認ののち,論理回路を実際に実現していく方法を学んでいきます.論理ゲートを組み合わせて任意の真理値表を再現する組み合わせ回路の作り方を学び,続けて記憶素子を含む順序回路の作り方を学びます.また,ディジタル回路による数値表現について学びます.ハードウェア/ソフトウェア両面の基礎を学ぶことで,ハードウェア設計における符号拡張や,ソフトウェア設計におけるオーバフローなど,本当に動くものを作る上で重要となる事柄を自然に理解できるようになります.

ココがおもしろい!

スライド配布,常時質問可能,匿名フォームを利用したおたよりコーナなど,利便性やコミュニケーションを重視してきました.2020年からはVR空間上の教室から授業配信をしています.受講者は通常の視聴以外にも,直接このVR空間でオンサイトと変わらない,あるいはそれ以上の学習体験が可能です.当初は緊急避難的な試みでしたが,受講者からは「対面より見やすい」「モチベーションが上がる」「未来を感じる」「リモートでもライブ感が損なわれない」など,ポジティブなフィードバックを得ています.ディジタル技術の最先端の形を使ってディジタル回路の基礎を学ぶ,「専門課程に来た」という実感を与えられる講義になればです.

前期実験概要

前期実験では、講義で学んだことを実際に体験し、電気電子情報工学の基本となる考え方や基礎技術を身につけることを目指しています。実際に設計・実装し測定してみることで、講義で学んだ内容に対して実感を得ることができ、より深い学びを獲得できます。同時に、測定器や実験機材、シミュレータ等の使い方も体得できます。実験レポートの執筆を通じて、科学技術論文の書き方の基礎も学んでいきます。

どんな講義?

4-5名が1チームになり、12個の課題(電気回路基礎、測定法、半導体特性、アナログ回路、デジタル回路、情報処理、放電、整流、制御など)を2-12日かけながら取り組んでいきます。種々のシミュレーターや測定器を駆使して、班員一丸となって協力しながら実験を行います。教員やTAの試問をうけた後、実験内容に基づいたレポートを執筆・提出し、レポートの内容についてフィードバックを受けます。

ココがおもしろい!

放電やモーター制御、アナログ・デジタル回路設計、プログラミングは、どれをとっても講義で学ぶ理論と実際の機材に触れて動かしてみるのでは大違いです。それを体験し、なぜ実際のシステムでは理論との違いが生まれるのかについて思考を深めることのできる貴重な機会です。チームで協力しながら作業を進めることで、チームワークを学び仲間との友情を深めることもできます。大学卒業後開催される同窓会でも、よく話題に出るのがこの学生実験です。

後期実験概要

後期に実施される電気電子情報実験・演習第二(通称「後期実験」)では、三年生前期の講義や実験で学んだ基礎知識を活用して、より専門的な課題に取り組むことが出来ます。情報、システム、デバイス、エネルギーなど分野毎の10個の指導担当ラボから提供される30種ほどの実験内容から、各自の希望に応じて課題を選択して実施することになります。この実験を通してラボ毎に特色のある課題に触れることで、これまでに身につけた知識を実践的に活用したり、将来の研究活動の一部を体験したりすることが出来ます。

どんな講義?

後期実験では、用意された多くの課題から実際に取り組む内容を選択して決めてもらうことになります。全てを紹介することは出来ませんが、情報系ラボではゲームAIや人工知能、大規模ソフトウェアの実装に関わる演習、エレクトロニクス系ラボでは実際にクリーンルームで集積回路の設計・製造を体験する演習、パワー系ラボでは核融合・宇宙プラズマなどの高電圧現象や運動制御などの制御系設計に触れる演習があり、各分野の教員が自信を持って用意する魅力的な課題が揃っています。

ココがおもしろい!

後期実験では各個人が自分の興味に応じて多数の課題に分かれて取り組む事になりますので、実験課題毎にその分野の教員と密にコミュニケーションを取れることも魅力の一つです。課題の内容もそれぞれの分野での実際の研究活動に近いものとなっていて、将来の研究分野選択の参考にもなるかも知れません。

情報可視化とデータ解析(後期実験)

授業概要

多くの仕事や場面において大量のデータを扱うことが増えています.このような状況においては単純に元データを見て何かを言い表すことは不可能です.そこでデータに隠された情報を分かりやすい形に表現する情報可視化に大きな注目が集まっています.本実験では情報可視化技術を用いたデータ解析の基礎を学びます.また,インタフェース設計においてよく行われるクイックプロトタイピングの手法を同時に体験しながら,自分たちのオリジナルの情報可視化システムを作り上げていきます.


どんな講義?

本実験では基礎的な知識と実際的な技術を学ぶため,実験の前半はセミナーと実習の2つを組み合わせた形式になっています(https://iis-lab.org/infovis).情報可視化に関する基礎と学術的な知識をセミナー形式で学び,実習部分ではコーディングを含む実装をすることにより,具体的な例を通して理解を深めます.実験の後半ではプロジェクト形式で学生さんがグループでオリジナルの情報可視化システムを1から構築します.

ココがおもしろい!

この実験を受けた学生さんからいただいた以下のコメントのように,短いながらも充実した時間を過ごしてもらえるように常に努めています.

「自分の興味のあるデータを可視化して洞察を得るという過程は面白くやりがいがあります。実験の途中では他チームとのデザインレビューを行い、お互いのプロジェクトからさらに刺激を受けます。最終日には企業からのゲストも招いたデモ大会で、プロジェクトの成果を発表します。着想の面白さや実用性の観点から意見をもらえ、達成感もひとしおです。」