EEIC 東京大学工学部 電子情報工学科・電気電子工学科

竹中 充 教授

本郷キャンパス

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シリコンフォトニクスで切り拓く次世代AI・IoTデバイス

シリコンを使って光電子集積回路を実現するシリコンフォトニクスの研究を進めています。GeやIII-V族化合物半導体、グラフェンなどの2次元材料をSiフォトニクスと組み合わせることで、光演算で深層学習を行うAI用プログラマブル光回路、光配線LSI、中赤外集積回路などの研究を進めており、ムーアの法則に依らない革新的コンピューティングの実現を目指しています。

研究分野1

AI用プログラマブル光回路

Si光回路上に多数の光位相シフタを集積したプログラマブル光回路を用いた深層学習応用の研究に取り組んでいます。半導体微細化の物理的限界が近づきつつあり、CMOS電子集積回路の演算性能の飛躍的向上が望めない一方、人工知能(AI)に必要な演算量は指数関数的に増加しており、高度なAIを実現するためには、革新的コンピューティング技術が求められています。このような背景の下、シリコン光集積回路を用いた光演算に注目が集まっています。光位相を電気制御する光位相シフタが多数集積されたプログラマブル光回路を用いることで、任意の行列演算が光演算で可能となることから、半導体微細化に依らず深層学習や量子計算の演算性能を大幅に向上することが期待されています。 我々は、化合物半導体薄膜をシリコン光回路上に貼り合わせた革新的ハイブリッド光位相シフタを世界に先駆けて実証しました。ハイブリッド光位相シフタをプログラマブル光回路に応用することで、大規模・省電力・高速な深層学習アクセラレータなどの実現を目指しています。デバイス・回路・システムの観点から光演算による革新的コンピューティングに挑戦しています。
研究分野2

光配線LSI

AI・IoT時代においては、膨大なデータ通信が必要となりますが、ムーアの法則が終焉を迎えつつあり、LSIのデータ通信性能が飽和しつつあります。LSI中の電気配線の信号遅延や消費電力も深刻化しており、LSIの性能向上の妨げとなっています。これらの問題を抜本的に解決するため、Siフォトニクスを用いた光インターフェス付きLSIや光配線LSIを実現する光通信デバイスの研究に取り組んでいます。 当研究室では特にSiプラットフォー上にGeやIII-V族半導体、2次元材料などを異種材料集積したシリコンフォトニクスの研究を先導しています。これまでに、歪みSiGe光変調器や低暗電流Ge受光器、III-V族半導体とSiを組み合わせた超高性能ハイブリッド光変調器や受光器など、Siプラットフォーム上に異種材料を集積したシリコンフォトニクス素子の実証に成功しています。またIII-V族半導体薄膜を用いたIII-V CMOSフォトニクス・プラットフォームを世界に先駆けて提唱して、シリコンフォトニクスを超える次世代光電子集積回路の研究にも取り組んでいます。
研究分野3

光センシング

光集積回路を用いた光センシングの研究に取り組んでいます。光センシングは分子センシングや測距など様々な応用が研究されています。しかし、従来の光センシング素子はミラーやガスセルなどの空間光学系を用いたものが主であり、装置サイズやコストの点で大きな課題があります。シリコンフォトニクスに進展により、センシングに必要となる光素子をワンチップに集積した光集積回路の研究が世界中で進められています。センシング光集積回路により、小型化かつ高性能、低コストな光センシングが実現できると期待されています。 当研究室では、シリコンに替わってゲルマニウム(Ge)を用いた新しいセンシング用光集積回路の研究に取り組んでいます。従来活用されてこなかった中赤外光を用いた新しい光集積回路を実現することで、分子センサーや医療・バイオセンサーなど新たな光センシングの実現を目指しています。
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