EEIC 東京大学工学部 電子情報工学科・電気電子工学科

松浦 幹太 教授

駒場キャンパス

ネットワーク
情報セキュリティ

情報セキュリティとプライバシー、そしてトラスト

暗号からマルウェアやセキュリティ経済学まで、情報セキュリティとプライバシー、トラストを幅広く研究しています。この総合力が、ブロックチェーン等の社会基盤となる研究で、とくに強みとなっています。

研究分野1

高機能暗号とサイバーフィジカルセキュリティ

高機能暗号は、通常の暗号化以外に何らかの追加機能(たいてい、魔法のように不思議な機能)を備えている暗号技術です(例:何を検索したいかをサーバに知られずに情報を検索する秘匿情報検索技術)。このような技術を追究すると、違う「世界」であるサイバーフィジカル系に挑戦したくなります。 例えば、荷札のコードが正当だからといって、荷物が本物だと言い切れますか?安全安心なデジタルトランスフォーメーションには、サイバーフィジカルセキュリティが必須です。暗号学的な手法を用いれば、センシングするたびに異なる電子データになる物体に対して、厳密に偽造不可能性を持つ「モノの電子署名」を生成できます。サプライチェーンにおける不正防止など、産業応用も数多期待できます。
研究分野2

実システムのセキュリティとプライバシー

実際に普及しているシステムは、多くの領域にまたがる研究対象となります。例えば、匿名通信システムTorでは、多重暗号化によってプライバシーを守ります。検閲に対抗するため、有志協力者を動的に選定するベストプラクティスも駆使します。民主化や内部告発に活用された例もあれば、犯罪に悪用された例もあり、制度設計や倫理の観点でも研究されます。松浦研では、匿名性を高める立場(例:検閲対抗策の最適化)と脅かす立場(例:順探知/逆探知方式)の双方で研究し、レベルを高め合っています。ツールとして機械学習が重要な役割を果たしますが、データの取り扱いにはセキュリティ分野の高い専門性が必要です。この傾向は、マルウェア対策など他のテーマでも見受けられ、我々は総合力を駆使して取り組んでいます。
研究分野3

情報セキュリティ経済学

情報セキュリティ分野では、経済学的アプローチによって、利害関係者の動機付けが適切になされない理由を説明したり、セキュリティへの最適投資を議論したりすることができます。我々は、そのような情報セキュリティ経済学の研究を、世界に先駆けて2000年から行っています(例:仮想通貨のリスク管理や、そのトラスト基盤となるブロックチェーン)。近年は、ブロックチェーンの国際的な研究網であるBSafeネットワーク(http://bsafe.network/)や異種セクター連携活動であるBASEアライアンス(http://base-alliance.org/ja/)を諸機関と連携して立ち上げ、大規模な実証研究環境も整いました。例えばサプライチェーン管理の研究では、ブロックチェーンが資金調達コスト削減に与える効果の検証を試みることもできます。
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