EEIC 東京大学工学部 電子情報工学科・電気電子工学科

伊庭 斉志 教授

本郷キャンパス

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計算科学

進化を計算する人工知能

「進化」と「知能の創発」をキーワードにした計算やシステムについて研究しています。 最適化問題の解法をはじめ、人工知能の学習や推論など、「自然に学ぶ問題解決(Problem Solving from Nature)」を目指します。

研究分野1

進化計算とメタヒューリスティックス

「クジャクの羽はなぜあんなに美しいのか?」 「キリンの首はどうして長くなったのか?」 「働きバチは自分で子供を産まずに,どうして女王バチに奉仕するのか?」 これらの謎に迫っていくと,生物は進化や発達の過程で,ある種の最適化問題を解いていることがわかります.この考えに基づいて「自然に学ぶ問題解決(Problem Solving from Nature)」をめざす手法はメタヒューリスティックスと呼ばれています.その代表例は進化計算や群知能です.メタヒューリスティックは,工学的最適化のみならず,金融工学,芸術やデザインなどに広く応用されています.たとえば新幹線N700系のフォルムや飛行機の主翼の設計が有名です.最近では,メタヒューリスティックは機械学習や深層学習と統合され,人工知能の学習,推論,プログラムの自動合成,デザインシステムなどにも広く応用されています.
研究分野2

深層学習+進化計算=ディープニューロ進化

ニューロ・ダーウィニズム(Neural Darwinism)は,1972年にノーベル生理学・医学賞を受賞したGerald Edelmanにより提唱されました.この考え方に基づいて,深層学習と進化計算を統合したフレームワークがディープニューロ進化です.ニューロ進化の主要な特徴は最適なネットワークとその学習パラメータを遺伝的に探索することです.それにより通常のニューラル・ネットワークの探索に伴う手間(試行錯誤によるネットワークを構築など)を省くことが出来ます.ニューロ進化は様々な分野で応用され,その有効性が確認されています.
研究分野3

機械学習+進化計算=より賢い最適化

最適化問題とは,目的とする関数の値を最小化・最大化する問題です.最適化問題は物理学や工学など多くの分野で頻繁に登場します.しかしながら,最適化すべき関数が非常に複雑であったり(不連続や微分可能でない),関数の具体的な形が不明であったりするため,しばしば解析的に解くことが困難です.実用的な問題では解の評価に非常に高い計算コストがかかるものも少なくありません.そのため,進化計算と機械学習を統合することで,評価値の高い解を効率的に探索するアルゴリズムの構築を目指しています.たとえば強化学習を進化計算で補強したアプローチはゲームAIやロボットなどに応用されています.
研究分野4

複雑系と人工生命の研究

複雑系や人工生命の研究は人工知能と密接に関係しています.例えば,アリやハチ,魚などの群れ行動は個々の個体の動作では記述できなような複雑な群知能を創発します.こうした群知能はメタヒューリスティックと呼ばれ,人工知能の分野で様々に応用されています.この研究は,工学と生命科学の融合をめざし,「共生」と「多様性」といった生命現象の主要な概念をコンピュータで実現するものです
研究分野5

Mind Render:AI教育の実践的研究

初学者にAIを分かりやすく教えるための教育・研究を行っています.たとえば高校の教育実習に参加して,AIロボット(実機実験)のカリキュラムについて実証的な検証を行いました.また,Mind RenderはVR プログラムを作って遊べるプログラミング学習アプリであり,いくつかの小中高校や大学で実際に授業や自由研究に活用されています.当研究室ではこのアプリによるAI学習用ドリルを開発し,より豊かな情報教育の機会を提供しています.
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