EEIC 東京大学工学部 電子情報工学科・電気電子工学科
電気系工学専攻小林正起研究室修士1年生の棟方晟啓くんが第56回(2024年春季)応用物理学会講演奨励賞を受賞しました。
論文・受賞
2024.05.15

電気系工学専攻小林正起研究室修士1年生(発表時は電気電子工学科中野種村前田研究室4年生)の棟方晟啓くんが2024年応用物理学会春季学術講演会における講演「Ni/β-Ga2O3 SBDの障壁⾼さの温度依存性の精密評価とXPSによるβ-Ga2O3の価電⼦帯評価」に対し,第56回(2024年春季)応用物理学会講演奨励賞を受賞しました。

受賞した賞の名称と簡単な説明

「講演奨励賞」は、春秋講演会において応用物理学の発展に貢献しうる優秀な一般講演論文を発表した若手会員に対して贈られる賞です。

受賞された研究・活動について

近年、次世代パワーデバイス材料として注目を集めているワイドギャップ半導体酸化ガリウム(β-Ga2O3)のショットキー接合について、電流-電圧特性や容量-電圧特性、光電流測定を利用して障壁高さとその温度依存性について精密決定することに成功しました。特に、電流-電圧特性の解析において、β-Ga2O3においては拡散過程による輸送を直列に考慮する重要性に気づき、熱電子放出-拡散モデルという発展的な解析モデルを取り入れることで他の測定手法と同様の一貫した説得力のあるデータを得ることができました。また、得られた障壁高さの温度依存性の起源を解明するために照射光を用いたX線光電子分光(XPS)測定を行い、価電子帯頂の温度依存性を調べたところ、価電子帯の温度変化量が障壁高さの2-3倍程度大きいことが分かりました。これは、温度上昇に伴う障壁高さの低下が伝導帯底の低下に起因していることを示す結果であり、基礎的でありながら非常にインパクトの大きい結果であると考えています。

今後の抱負・感想

研究成果が認められこのような名誉ある賞をいただけて大変光栄です。今回の受賞は、前田先生・小林先生をはじめご指導いただきました先生方や研究室のメンバー、ノベルクリスタルテクノロジーの共同研究者の皆様のご指導と支えがあったからこそのものであり、心から感謝申し上げます。今回の受賞を励みに今後とも励んでまいります。


応用物理学会HP: https://www.jsap.or.jp/young-scientist-presentation-award/recipients56
前田研究室HP: https://sites.google.com/g.ecc.u-tokyo.ac.jp/maeda-lab/home?authuser=0

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