EEIC 東京大学工学部 電子情報工学科・電気電子工学科
電気系工学専攻の瀧口耕介大学院生(研究当時)、Le Duc Anh准教授、白谷治憲大学院生および田中雅明教授の研究グループは、生産技術研究所の福澤亮太大学院生(研究当時)、高橋琢二教授、福島工業高等専門学校の千葉貴裕講師と共同で研究を行い、その成果が英国科学誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。
論文・受賞
2022.11.09

●非磁性/強磁性半導体ヘテロ接合において巨大な奇関数磁気抵抗効果を発見
―物質中の「対称性の破れ」による特異な電子伝導現象、次世代量子デバイスの可能性―
電気系工学専攻の瀧口耕介大学院生(研究当時)、Le Duc Anh准教授、白谷治憲大学院生および田中雅明教授の研究グループは、生産技術研究所の福澤亮太大学院生(研究当時)、高橋琢二教授、福島工業高等専門学校の千葉貴裕講師と共同で、非磁性半導体(InAs)/強磁性半導体(GaFeSb)からなる二層ヘテロ接合を作製し、奇関数磁気抵抗を示す新しい電子伝導現象を発見しました。本研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。

 

通常の物質では磁場を印加したときの電気抵抗の変化(磁気抵抗効果)は磁場の向きを変えても全く同じですが、研究グループが作製した半導体ヘテロ構造では外部磁場の向きを反転させると電気抵抗が27%も変化する巨大な奇関数磁気抵抗効果を発見しました。この新しい奇関数磁気抵抗は、非磁性半導体層の側面(エッジ)に形成される一次元伝導チャネルにおいて発生し、①試料端(側面)の表面ポテンシャルによる「空間反転対称性の破れ」と②隣接する強磁性半導体からの磁気近接効果による「時間反転対称性の破れ」が同時に存在することに起因していることが判明しました。この現象は、対称性の破れによる巨大電磁気応答がエレクトロニクスに整合性の良い半導体ヘテロ接合で現れたことに意義があり、高感度磁気センサなど次世代のスピントロニクスや量子デバイスに応用可能と考えられます。本研究成果は、2022年11月9日に英国科学誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。

<論文>
Kosuke Takiguchi, Le Duc Anh, Takahiro Chiba, Harunori Shiratani, Ryota Fukuzawa, Takuji Takahashi, and Masaaki Tanaka
"Giant gate-controlled odd-parity magnetoresistance in one-dimensional channels with a magnetic proximity effect",
Nature Communications 13, pp.6538/1-7 (2022).
Doi: 10.1038/s41467-022-34177-w
https://doi.org/10.1038/s41467-022-34177-w

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