EEIC 東京大学工学部 電子情報工学科・電気電子工学科

前田 拓也 講師

本郷キャンパス

大学院工学系研究科・電気系工学専攻
学科電気電子工学科
ナノ物理・デバイス
環境・エネルギー
半導体システム
結晶工学
電子・電気材料工学
電子デバイス・電子機器
応用物理学

ワイドギャップ半導体の物性解明とデバイス応用

近年、情報通信技術や人工知能(AI)の発展により、人々の生活はますます豊かになっています。しかし、それに伴いエネルギー・電力の消費量も急増しています。例えば、ChatGPTの利用にはGoogleの検索システムの10~20倍の電力が必要とされるなど、先端技術の発展に応じた電力の高効率化が不可欠となっています。 電力変換システムに用いられる「パワー半導体」は、これまでSiが主流でしたが、長年の研究開発によって技術が成熟し、今後の飛躍的な性能向上は難しいとされています。そこで、新たな電子材料として窒化ガリウム(GaN)や炭化ケイ素(SiC)が注目を集めています。これらはバンドギャップが大きい「ワイドギャップ半導体」に分類され、Siに比べて絶縁破壊電界強度が格段に高いため、高耐圧・大電流のパワーデバイスや、高出力・高効率な高周波デバイスの材料として大きな可能性を秘めています。 現在、GaNやSiCは電気自動車や鉄道のインバータ、小型急速充電器などに実用化が進んでおり、近年ではAIデータセンターへの電力供給システムへの応用も検討されるなど、極めて重要な展開を迎えています。しかし、これらの材料は依然として発展途上にあり、材料物性の理解やデバイス製造技術のさらなる向上が求められています。 前田研究室では、ワイドギャップ半導体の物性解明とデバイス応用に向けた実証研究に取り組んでいます。特に、材料固有の新しい物理現象を開拓し、それを電子デバイスへ応用することに注力しています。また,パワーデバイスや高周波デバイスだけでなく,ワイドギャップ半導体ならではの新規光電子デバイスや量子応用で注目される極低温低ノイズ増幅デバイスなどの研究,宇宙探査などに応用が期待される超高温・耐放射線デバイスの研究も進めています.

研究分野1

ワイドギャップ半導体の物性解明とデバイス応用

前田研究室では,GaNやAlNなどの窒化物ワイドギャップ半導体やScAlNなどの新規窒化物電子材料を中心に,その物性解明やデバイス応用に関する研究に取り組んでいます.これまでに,AlGaN/GaNヘテロ接合における二次元電子ガス(2DEG)の速度飽和特性の解明[1]やAlNショットキーバリアダイオードにおける電流輸送機構の解明[2, 3],酸化ガリウムのショットキー障壁高さの温度依存性の起源解明[4],ScAlN/GaNヘテロ接合の結晶成長[5]や高電子移動度トランジスタ(HEMT)試作[6],ScAlN/GaNヘテロ接合における2DEGの制御や輸送機構解明[7]に取り組んできました.詳細については研究室HPをご参照ください. [1] Y. Wakamoto et al., IWN 2024. [2] T. Maeda et al., IEDM 2024. [3] I. Sasaki et al., ICNS 2025. [4] A. Munakata et al., EMC 2024. [5] T. Maeda et al., Appl. Phys. Lett. 125, 022103 (2024). [6] T. Maeda et al., DRC 2024. [7] K. Kubota et al., ICNS 2025.
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