私たちは、「物理」というリアルな世界と、
「情報」という抽象化された世界を行き来しながら、これらを巧みに操ることで繁栄を続けてきました。
言語の発明から現代に至るまで、情報の抽象化を通して物理を操ることは、凄まじい力を持って私たちの社会を変えてきました。
「情報」を操るには「物理」が必要であり、「物理」に向き合えば「情報」の新しい使い方が見えてきます。物理と情報。ハードとソフト。原理と応用。実空間とサイバー空間。どちらか片方では不十分であり、その双方を俯瞰し、行き来できる力が、いま求められています。
電子情報工学科・電気電子工学科では、そんな人材を育てています。
Department of Electrical and Electronic Engineering, Department of Information and Communication Engineering
EEICは、電気電子工学科を表すEE (Electrical and Electronic Engineering)と、電子情報工学科を表すIC (Information and Communication Engineering)から構成されています。
両者はまったく異なる分野を学ぶわけではなく、あくまで以下のどちらの領域を重点的に学ぶかで選択します。
どちらの学科も、物理と情報・ハードとソフト・原理と応用のどちらもを俯瞰できるような人材に育てるようにカリキュラムを組んでいます。
電子情報工学科は主に情報系、電気電子工学科は主に物理系の科学と技術に関心のある人にお勧めです。どちらを選んでも両方を深く学ぶことができるようになっていますし、どちらか一方だけに専念することもできます。いずれにしても、これまでの苦手意識は忘れてください。社会では何が必要とされているのかというゴールを見据えながら、それに直結した学問をあらためて基礎から習得していくことができるようになっています。
「メディア情報・コンテンツ・人間」「コンピュータ・ネットワーク」などへの関心が強ければ電子情報工学科が、「ナノ物理・光量子・バイオ」「エネルギー・環境・宇宙」などへの関心が強ければ電気電子工学科がお勧めです。さらに「システム・エレクトロニクス」分野へはいずれからもアプローチできます。
電子情報工学・電気電子工学は、ナノから宇宙のスケールまで、途切れなく繋がっている学問です。
EEICでは、現代技術の中枢を担うこれらの技術を体系的に学び、最先端の応用へと展開していく力を養うことをめざしていきます。皆さんは、広い視野をもって多彩な分野について学びつつ、特定の分野について深く掘り下げていくことになるでしょう。
電子情報工学科・電気電子工学科の 2 学科では、現代技術の中枢を担う情報・電気・電子の技術を体系的に学び、最先端の応用へと展開していく学力と知識を養うことをめざしていきます。EEICには、情報と物理の基礎から専門分野に至るまでのカリキュラムが存在し、学生はその中で自分にあったテーマを選択していきます。
また、皆さんが電気系の研究をするための、豊富な設備と豊かな教員・仲間たちがEEICには備わっています。
「物理を究め、情報社会に変革を。情報を究め、物理世界に変容を。」
私たちの電気系工学専攻 / 電子情報工学科・電気電子工学科は、1873年に大学として世界で初めて設立された電気系工学専門教育機関である「工部大学校電信科」を起源としています。これは東京大学が設立される4年前のことでした。 以来150年以上にわたり、歴史と伝統を守りつつも常に変革を続け、電気電子技術および情報技術の先端研究・教育を通じて社会の発展に大きく貢献してきました。 現代のテクノロジーは、物理的基盤と情報学的基盤が融合することで飛躍的に進展しています。 学部教育では、「情報」を究める電子情報工学科と「物理」を究める電気電子工学科の二つの学科が密接に連携しながら、基礎的かつ実践的な教育を展開しています。電子情報工学科は、情報工学・数理科学・AI・アルゴリズム設計・通信ネットワークを中心とした情報技術的な教育を推進し、一方で電気電子工学科は、電磁気学、量子力学、エネルギー工学、半導体デバイスなど、物理的な側面からアプローチする教育を重視しています。 これら二つの柱は協働することで、学生たちが広範で深い視野と高度な専門性を併せ持つことを可能にしています。
また、本学には、より高度な専門性や先端的な研究を志す学生に向けて大学院があります。大学院では、学部で培った基礎的な知識を発展させ、学際的かつ国際的な視野に立ち、社会に変革をもたらす研究を進めています。 特に近年は、国際的な人材交流を積極的に推進し、海外から多くの優秀な留学生や研究者を受け入れるだけでなく、本専攻の学生も世界各地の大学や研究機関との共同研究を通して、世界の第一線で活躍できる研究者・技術者の育成に努めています。
AI技術を中心とした現在の急速なイノベーションは、ソフトウェアやアルゴリズムの革新だけでは実現できません。膨大なデータを高速かつ効率的に処理するためには、高性能な半導体デバイスや超高速通信技術の実現が必須であり、また同時に、莫大な計算量に伴う電力消費を抑制する省電力デバイス、新たなアルゴリズム、サステナブルなエネルギーマネジメントなどが欠かせません。 私たちは、これらの課題に物理学・電磁気学・量子力学をベースにした技術、そして情報工学・データサイエンスに基づくアプローチを組み合わせて取り組んでいます。
私たちのアクセス可能な教育・研究環境には、世界最高水準の設備(クリーンルーム、AIデータセンター、プロトタイピングラボ等)を完備し、産業界や研究機関との強力な連携を活かし、学生たちが自由な発想で革新的な研究を進める環境を整えています。
電気電子情報技術は未来の社会を形づくる基盤であり、あらゆる産業の発展と社会の持続可能性にとっても不可欠な分野です。今後も電気系工学を中心としたエンジニアや研究者は、世界中で絶え間なく求められ続けるでしょう。
私たちが求める人材は、このような社会的使命に誇りと責任感を持ち、自ら主体的に未来を切りひらく意欲のある人々です。 伝統と革新を融合する私たちの専攻・学科で、新たな時代を共に創造しましょう。
電気系主任
工学系研究科 電気系工学専攻長