東京大学工学系研究科電気系工学専攻 中野・種村研究室

研究現況 2015/H27 (English)

1. 新機能モノリシック光集積回路
中野義昭・種村拓夫・杉山正和・S. ゴッシュ・加藤豪作・綾田雅文・M. A. カズィ・R. フローレス・R. ジャネイロ・川端祐斗・鈴木健太郎・福田将治・唐睿・小林竜馬・小松憲人・H. ショーマン・小杉優地・菅一輝・M. ベンアイード

 モノリシック集積された半導体光デバイス/回路は、単体素子では得られない多くの機能や高い性能が実現され得るため、高度な光通信、光情報処理・記録、光計測を行う際の切り札として期待されている。本課題では、能動素子材料として優れる化合物半導体を基盤に、製造技術的に進んでいるシリコン技術も活用しながら、新しい機能を有するモノリシック光集積回路の試作・開発を行っている。本年度は特に、フェーズアレイ光スイッチ回路のシリコンプラットフォーム上での作製と評価を行っているほか、偏波変換器集積化光検出器、Al系量子井戸による偏波制御器、偏波アナライザ回路などの偏波制御を担う光集積回路群と、面内/面垂直45度ミラー、光フェーズアレイビームスキャナー回路、任意ユニタリ変換光回路、表面入射電気光学ポリマー変調器などの自由空間光操作を担う光集積回路群を研究している。

2.次世代半導体レーザ・半導体発光デバイス
中野義昭・種村拓夫・杉山正和・R. テイラー・加藤豪作・張柏富・肖熠・詹文慧・千枝航・虞伝慶・周鵬・馮凱音・S. エマラ・侯俊

 光情報通信・処理、光センシング応用に資する次世代半導体レーザの研究を行っている。また、装置間や装置内部の情報伝送を担う光インターコネクトに向けて、極微細、低消費電力の半導体発光デバイスの研究を行っている。本年度は,極微小カプセル形状金属キャビティレーザの解析と試作を行っているほか、電流励起に向けた素子設計,InP光導波路と結合した金属クラッド共振器の設計と作製を行っている。並行して、波長多重アクセス通信向けの反射型半導体光増幅器によるセルフシード光源の研究を進めている。

3.化合物半導体量子構造を用いた超高効率太陽電池
中野義昭・杉山正和・種村拓夫・渡辺健太郎・H. ソダーバンル・加藤豪作・W. ヤンワチラークン・K. トープラサートポン・宇宿孝則・趙博文・徐皓

 有機金属気相エピタキシャル成長(MOVPE)で形成される化合物半導体量子マイクロ構造に基づき、50%にせまる超高効率の太陽電池を研究、開発せんとしている。具体的には、多接合タンデム型と中間バンド型の高効率太陽電池を対象としている。本年度は,InGaAs/GaAsP超格子ミドルセルによるIII-V/Ge 3接合セルの試作、量子井戸セルにおけるキャリアトランスポートと集光効果の解析、4接合タンデムセルに向けた超格子ミドルセルの最適化、波状量子井戸の作製とミドルセル応用の各研究を行っている。

4.抵コスト・高効率太陽電池システム開発
中野義昭・J. F. ギルモール・杉山正和・種村拓夫・渡辺健太郎・A. ドラマール・井上智之・山下大之・長岡恵里奈・R. コワイヨ

 エピタキシャルリフトオフ、ウェーハ接合を用いた太陽電池の高効率化と低コスト化、高効率な太陽光発電モジュール、それらを応用した発電システムの研究を行っている。超高効率太陽電池における光マネージメント技術や、セル評価技術も研究対象である。本年度は主に、高効率薄膜量子井戸セルの試作、表面活性化ボンディング、集光条件下での量子井戸セルの詳細な動作特性解析の各研究を行っている。

5.ヘテロジニアスMOVPE技術と光デバイス応用
中野義昭・杉山正和・種村拓夫・加藤豪作・渡邉冬馬・鈴木道洋・荒川達哉

 有機金属気相エピタキシャル成長(MOVPE)によって、シリコン、サファイア、窒化アルミニウム(AlN)等の上に(窒化物を含む)III-V族化合物半導体を結晶成長する技術を研究するとともに、それを応用した光デバイスの研究を行っている。本年度は、前年度に引き続きシリコン上のInGaAs成長とその赤外イメージセンサ応用、シリコン上の高品質GaN/InGaN結晶成長、AlN上成長を利用したモノリシック白色発光ダイオードの研究を行っている。

6.光電気化学と再生可能エネルギー貯蔵
中野義昭・杉山正和・藤井克司・小池佳代・中村亮裕・岩井耀平

 太陽光発電に代表される再生可能エネルギーが時間的、空間的に偏在する問題を解消するために、再生可能エネルギーの大規模、低コストな貯蔵技術を研究している。特に、高効率太陽電池の起電力を直接利用して水を電気分解し高効率に水素を発生してエネルギー貯蔵する技術と、光起電力で二酸化炭素を直接還元し燃料化、化成品原料化する技術を研究している。

7.太陽光を機軸とする持続可能グローバルエネルギーシステム
中野義昭・茂木源人・杉山正和・渡辺健太郎

 総括寄付講座「太陽光を機軸とする持続可能グローバルエネルギーシステム」を設置し、太陽光資源に富む低緯度砂漠地帯で大規模に太陽光エネルギーを収穫・貯蔵し、短期的には地域の主要エネルギー源として活用し、将来的には地球全体に輸送して循環利用することで、現在の化石燃料システムに代わる永遠に持続可能なグローバルエネルギーシステムを構築せんとしている。