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文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(S)

ディジタルフォトニクス -光エレクトロニクスのパラダイムシフト

社会的意義


研究概要(画像をクリックすると大きいスライドが見られます)


これまでの光IC

研究目的

ディジタルフォトニクスの
ポイント

全光論理ゲート

全光フリップフロップ

非相反光素子

ディジタル光回路

大規模集積プロセス技術のかなめ
-MOVPE選択成長

これまでの道程と
本計画でめざす領域

低消費電力化・
大規模集積化の展望

研究協力体制

大規模ディジタル光集積回路
(PLSI)

研究経過

(1)第2世代(G2)全光論理ゲートデバイスの開発

図1 MZIに能動MMIを導入することで,従来の約1/4の小型化を達成したInP全光論理ゲート
図1 MZIに能動MMIを導入することで,従来の約1/4の小型化を達成したInP全光論理ゲート

従来の全光スイッチを格段に小型化するために,能動多モード干渉計(MMI)と,それを相互位相変調領域に集積化した全光論理ゲートを,InP系集積光デバイスプロセスに基づいて試作した.その結果,1.2×0.4mmのサイズで,入力制御光パワー7dBm時に,10dBの全光スイッチング消光比を得た(図1).

(2)G2全光フリップフロップデバイスの開発

図2 MZI-BLD とDBR を集積化した新たな全光フリップフロップ素子の概念図とチップ上面顕微鏡写真.
図2 MZI-BLD とDBR を集積化した新たな全光フリップフロップ素子の概念図とチップ上面顕微鏡写真.
図3の1
図3 光クロックポート付き全光フリップフロップの実験系と光クロック同期フリップフロップ動作波形
図3 光クロックポート付き全光フリップフロップの実験系と光クロック同期フリップフロップ動作波形.

まず本研究の出発点となる分布ブラッグ反射鏡(DBR)集積MMI双安定レーザ(BLD)型全光フリップフロップについて,その波長可変化を行った.その結果,波長可変幅3.1nm,消光比24.7dB,副モード抑圧比21.5dB などの優れた性能を得た.

さらに,DBRとマッハツェンダー干渉計(MZI)型BLDを組み合わせた新たな全光フリップフロップ素子を研究開発し(図2),動作波長範囲として58nmを得た.同素子の動特性を評価し,2.5pJ の入力光パルスに対し,夫々319ps 以下,68ps 以下の立ち上がり/ 立ち下がり時間を得た.素子性能の限界を知るため,結合レート方程式によるモデリングと動特性シミュレーションを行った.

さらに,同素子に基づいて,これまでの光フリップフロップに欠如していた光クロック入力ポート(Dポート)の導入を図り,光クロック信号に同期したフリップフロップ出力を得ることに成功した(図3).1545 ~ 1559nm の広範なクロック波長可変範囲を実証するとともに,結合レート方程式による動特性シミュレーション手法を構築し,光クロック同期の実験結果を完全に再現することに成功した.さらに,入力信号に由来した波形歪みを取り除くための新規デバイス構造を提案し,シミューレーションにより有効性を実証した.

(3)光バッファメモリの開発

図4 InP 1x16 マトリクス光スイッチのチップ写真
図4 InP 1x16 マトリクス光スイッチのチップ写真

上記の光フリップフロップは,全光論理演算を行う際の順序論理演算実行用メモリとして必須であるものの,元来1ビットメモリであることから,パケットスイッチング等で必要となる多バイトペイロードのバッファメモリとしては不適である.そこで研究代表者らは,この目的の光メモリとして,1×Nマトリックス光スイッチと小型光遅延線アレイを集積化した構成の新たな光バッファメモリの研究開発を並行して行って来た.その重要な構成要素であるInPフェーズドアレイ型マトリックス光スイッチの開発を行い,1x5,1x8,1x16とスイッチ規模を順次拡大し素子を実現して来た(図4).試作された光スイッチを用いて,光ラベルによる160GbpsRZ-OOKパケットおよび10Gbpsx12波長DPSKパケットの1x16スイッチング実証実験を行い,前者は0.7dB,後者は0.6dBの僅かなパワーペナルティしかないエラーフリー動作を得た.並行して同光スイッチを適用したOPS/OCS混在光ルーティング実験を行い,所期の特性を実証した.

図5 開発した小型光バッファメモリの構成
図5 開発した小型光バッファメモリの構成
図6 大規模光スイッチ集積回路のチップ写真
図6 大規模光スイッチ集積回路のチップ写真

さらに,同光スイッチと超小型コイルファイバを組み合わせ実用的な全光バッファを世界で初めて開発することに成功し,光ファイバー通信国際会議(OFC)ポストデッドライン論文として採択されるに至った(図5).

さらに平成22年度には,1x10光スイッチの2段構成による世界最大の1x100のスイッチ規模を有する大規模光集積回路(PLSI)を試作・実現した(図6).半導体光増幅器(SOA)アレイをモノリシックに集積することにより40dB以上の高い消光特性を達成し,10Gbps信号のスイッチング実験では,パワーペナルティが1dB以下のエラーフリー動作を得た.本成果は欧州光通信会議(ECOC)ポストデッドライン論文として採択されている.また,並行して,光スイッチの各出力ポートに光モニタを集積する技術を提案し,パワーモニタ内蔵型光スイッチの試作に成功した.

(4)G2非相反光デバイスの開発

非対称な断面形状を有する光導波路と非相反位相シフトを組み合わせた非相反偏光変換素子を研究した.まずその動作原理と構造について検討した後,導波路断面内での電界分布の解析を行い,さらに導波路長手方向の偏光ごとの強度分布を計算した.その結果,波長1.55μm帯において,0.27mmの素子長で93%の非相反偏光変換が可能であることが示された.この偏光変換素子は,偏光子または偏光モードスプリッタと組み合わせれば即座に光アイソレータとして動作させることができる.

開発した非相反損失光デバイスをリング共振器レーザ内部にモノリシック集積することに成功し,非相反損失光デバイスに印加する磁場の方向を反転させることにより,リングレーザの発振方向を制御できることを実証した.

(5)集積プロセス技術とディジタル光集積回路の開発

図7 光フリップフロップ・光ゲート集積回路チップ写真
図7 光フリップフロップ・光ゲート集積回路チップ写真

デジタルフォトニクス実現の鍵となる有機金属気相エピタキシ(MOVPE)における選択成長技術を,InGaN系の混晶半導体に拡張した.その結果,一度の結晶成長で,同一基盤上の青から緑に至る発光を確認,実証した.

開発した集積プロセス技術を活用し,MMI型全光フリップフロップと,SOA-MZI型全光論理ゲートをモノリシック集積化したワンチップ全光パケット処理回路を試作し(図7),10Gbps,40Gbpsの単一波長光パケットと,160Gbpsの多波長光パケットを試作光集積回路で実際にルーティングし,全てのデータレートでエラーフリー動作を達成した.これより,全光ルーティング集積回路のデータレートおよび波長に対する透明性が実証された.

一方,上記の光スイッチと光遅延線を組み合わせた光バッファ回路の集積化をさらに推し進め,光遅延線,光カプラ,および,可変光減衰素子を石英系プレーナ光波回路上にワンチップ集積し,光スイッチとハイブリッド実装したコンパクトな光バッファ集積回路の作製を行っている.可変光カプラの結合比を制御することによりポート間バラツキを動的に制御する手法を提案し,初期的ながら,実験により原理動作を確認した.

 


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